「健康施策にお金をかけても変わらない」
——その本当の理由——
産業理学療法士・影石言光が語る、健康経営が機能しない構造と見えない損失の正体
医療法人真心会 南草津野村整形外科 事務次長
こんな状況に心当たりはありませんか?
- 健康経営に取り組んでいるが、効果が数字に出ていない
- 腰痛・メンタル不調を訴える社員が多く、休職・離職が続いている
- 「何かやらなければ」という焦りはあるが、何から手をつければいいかわからない
- 経営層から「費用対効果が見えない」と言われ、施策の予算が通らない
1|なぜ「やっているのに変わらない」のか
最もよく見るパターンは、施策が「イベント型」で終わってしまっていることです。年に一度の健康診断、半年に一回のセミナー——これでは身体は変わりません。健康は毎日の習慣によってしか変わらないのに、施策が非日常のイベントになってしまっている。
もうひとつよく見るのが、「測定で終わっている」ケースです。健康診断を行い、数値が悪い方に特定保健指導をして終わり——測定や把握はできているのに、その先の実践施策がない。結果、何も変わらないまま翌年の健康診断を迎えることになります。
測定はあくまでスタートラインです。その数値を「日常の行動変容」につなげる仕組みがなければ、どれだけお金をかけても変化は生まれません。
2|「見えない損失」の正体——プレゼンティーイズムとは
非常に多く見かけます。腰痛や肩こりを抱えながら出勤している方は、まず集中力と判断力が落ちています。「なんとなくぼんやりする」「ミスが増えた気がする」という状態です。
さらに疲労が蓄積すると、思うように身体が動かせなくなります。作業効率が落ち、それがまたストレスになる。この悪循環が静かに、しかし確実に職場全体の生産性を下げているのです。
プレゼンティーイズムによる損失イメージ
(研究データより)
3割低下した場合の損失試算
数字に現れにくい損失
欠勤は数字として見えますが、プレゼンティーイズムによる損失は見えにくい。研究によると、不調を抱えながら出勤している状態では、健康なときと比べて生産性が2〜3割低下するとも言われています。「健康への投資対効果がわからない」ではなく、「放置することのコスト」を正しく認識することが、健康経営の出発点だと考えています。
——産業理学療法士だからわかる、職場の不調の「本当の原因」