1|なぜ「やっているのに変わらない」のか

Q
「健康経営に取り組んでいるのに、なかなか効果が出ない」という声をよく聞きます。その原因はどこにあると思いますか?

最もよく見るパターンは、施策が「イベント型」で終わってしまっていることです。年に一度の健康診断、半年に一回のセミナー、これでは身体は変わりません。健康は毎日の習慣によってしか変わらないのに、施策が非日常のイベントになってしまっている。

もうひとつよく見るのが、「測定で終わっている」ケースです。健康診断を行い、数値が悪い方に特定保健指導をして終わり—、測定や把握はできているのに、その先の実践施策がない。結果、何も変わらないまま翌年の健康診断を迎えることになります。

測定はあくまでスタートラインです。その数値を「日常の行動変容」につなげる仕組みがなければ、どれだけお金をかけても変化は生まれません。

2|「見えない損失」の正体 プレゼンティーイズムとは

Q
「プレゼンティーイズム(体の不調を抱えながら働いている状態)」の実態を現場で感じる場面はありますか?

非常に多く見かけます。腰痛や肩こりを抱えながら出勤している方は、まず集中力と判断力が落ちています。「なんとなくぼんやりする」「ミスが増えた気がする」という状態です。

さらに疲労が蓄積すると、思うように身体が動かせなくなります。作業効率が落ち、それがまたストレスになる。この悪循環が静かに、しかし確実に職場全体の生産性を下げているのです。

プレゼンティーイズムによる損失イメージ

2〜3割
不調時の生産性低下
(研究データより)

月9万円
月給30万円の社員が
3割低下した場合の損失試算

見えない
欠勤と異なり
数字に現れにくい損失

欠勤は数字として見えますが、プレゼンティーイズムによる損失は見えにくい。研究によると、不調を抱えながら出勤している状態では、健康なときと比べて生産性が2〜3割低下するとも言われています。「健康への投資対効果がわからない」ではなく、「放置することのコスト」を正しく認識することが、健康経営の出発点だと考えています。

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プロ野球トレーナーが製造業の現場に入って見えたこと
——産業理学療法士だからわかる、職場の不調の「本当の原因」