『Citta BIZ』は健康経営の意思決定プラットフォーム。業種別のリアルな成功事例や稟議用データを完全無料で提供します。

掲載企業様 募集中

掲載ご検討の企業様へ はじめての担当者様へ
警備業・製造業

「健康経営優良法人は現場の課題に向き合っていたら、気づいたら取れていました」

澤井 敬輔 様

株式会社アダムスセキュリティ
代表取締役
【業種】警備業
【設立】2011年
【拠点】滋賀県草津市

「健康経営優良法人を取得しようか検討しているが、実際のところ、取って何が変わるのか分からない」――そう感じている人事・総務担当者や経営者は少なくないはずだ。その問いに、6年連続で認定を取得し続けている経営者自身が、正面から答えてくれた。滋賀県草津市の警備会社、株式会社アダムスセキュリティ代表取締役・澤井敬輔氏である。

ABOUT THE COMPANY

株式会社アダムスセキュリティ(滋賀県草津市)は2011年創業の警備会社。交通誘導警備を主力に、商業施設・イベント・花火大会など幅広い警備サービスを地域に提供している。業界に先駆けてAIを活用した警備の実証実験にも取り組み、テクノロジーと「警備は接客業である」という人への気遣いを両立させた事業運営を行っている。

認定を「取るため」ではなく、「既にやっていた」健康経営

アダムスセキュリティは2021年から健康経営優良法人の認定を6年連続で取得している。だが澤井氏は、認定取得が目的だったことはないと明言する。

「2017〜2018年頃に、私自身が大きな病気をしたんです。それより前から、警備業界は非正規雇用も高齢者も多くて、離職していく人が多い業界だった。だからもともと健康への取り組みはいろいろ拡充していたんですよ。健康経営優良法人という制度があると知らずに、たまたま申請してみたら取れた、という順番です」

つまり、従業員の健康への投資と、それに伴う生産性向上が先にあり、制度はあとから見つけたラベルだったというのが実情だ。

「認定取得そのものに直接の効果はない」という率直な評価

健康経営優良法人の認定が、定着率や採用力にどう影響したか。澤井氏の回答は意外なほど率直だった。

「健康経営優良法人を取得していること自体のメリットは、正直ないです。これによって定着率が上がったとか採用が増えたということは全くありません。大事だったのは制度そのものより、意識改革なんです」

一方で、明確な変化を感じている点もある。それは病気や体調不良から職場に戻る「復帰率」だ。

「体調を崩した時に、ある程度の補償や福利厚生がしっかりしていれば、復帰する率は間違いなく高くなります。保険にきちんと加入していない人が多い業界なんですが、うちは加入を徹底している。実際に糖尿病などの持病があっても、保障があるから安心して休んで、ちゃんと復帰できたという人がいます」

離職者を出して採用・育成コストを払い直すより、復帰できる環境を整える方が合理的だという考え方が、ここには貫かれている。

現場目線から生まれた具体策の数々

アダムスセキュリティの健康施策は、いずれも「体力仕事である警備業ならでは」の発想から生まれている。

整体・ジム費用の半額補助

月5,000円までを上限に、整体やジムの利用費を半額補助する制度がある。狙いは明快だ。

「体力仕事なので、腰を痛めたら立てなくなって仕事が止まる。それよりは整えてもらった方が、明らかに生産性がいい。1日休まれるよりマシ、という単純な打算です」

ただし利用率は決して高くないという。澤井氏は「スポーツジムの入会者で1年継続するのは6%程度というデータもある。使われない現実は受け入れている」と冷静に語った。施策の「使われなさ」を認めた上で続けているという事実は、宣伝ではなく本音の投資判断であることを物語っている。

インフルエンザ予防接種無料化(10年以上前から)

「これは10年以上前から始めています。うちの仕事はインフルエンザにかかったら終わりなので、全員受けてほしい。強制はできないので『受けてください』とお願いするだけですが」

10年以上にわたって継続されている事実が、この施策の本質を語る。「やってみた」ではなく「やり続けている」施策として、業務継続性への実質的な貢献が積み重なっている。

禁煙手当という導入の工夫(過去に実施)

現在は実施していないが、過去には導入時に独自の工夫を凝らした施策もあった。

「制度を導入する前に、喫煙者・非喫煙者を問わず全員に一度手当をつけたんです。そのうえで『3ヶ月禁煙してください』とお願いする形にした。当時やめられなかった人は対象から外れる、という仕組みでした」

強制でも義務化でもなく、全員への配慮を先に示した上で行動変容を促す。現場の反発を最小化しながら施策を着地させる工夫の一例だ。

現場の熱中症対策

屋外勤務者への熱中症対策は、すでに冷却ベストや空調服を導入済みだ。さらに一歩進めた施策として、現場環境そのものの向上を検討している。

「冷却ベストや空調服は現状でも導入していますが、今検討しているのは現場へのスポットクーラーや休憩所の設置です。警備スタッフと一緒に、現場の環境そのものを良くしていけないかと考えています」

なお、夏場に新規採用した人材が現場でいきなり熱中症に近い状態になるケースが多いといい、「暑さに慣れる」期間の重要性についても言及があった。次の施策が既に視野に入っているという事実は、アダムスセキュリティの健康経営が「やりっぱなし」ではないことを示している。

企業型DC(確定拠出年金)の導入

中小企業では導入例が少ない企業型DCも、健康経営の延長線上にあるという独自の考え方を示した。

「将来、年金だけで暮らせるとは思えない。積み立てにデメリットはないし、非課税で投資に回せる制度もある。お金があれば健康にも気を配れるし、時間も買える。資産形成も健康経営の一部だと思っています」

制度への提言――「評価制度としてはまだ弱い」

数々の施策を語った澤井氏だが、健康経営優良法人制度そのものへは、経営者としての率直な意見を持っている。

「認定を取るために何かをするというのは、正直あまり意味がないと思っています。実際、取得しても活用していない企業の方が多いはずです。上位認定であるブライト500であっても、企業としての評価制度としては正直まだ弱いと感じています。法人税の優遇や企業評価点がプラスになるような仕組みがあれば、取り組む意味がもっと強くなるのではないでしょうか」

特に、健康経営優良法人の取得が企業活動に一定の制約をもたらす点についても言及した。

「これをやろうとすると、業務に結構制約がかかる。まじめに取り組んでいる企業に対して、法人税の優遇や入札時の加点など、もっと明確なメリットがあってもいいと思っています」

制度そのものへの評価は厳しい。しかし「だから取らなくていい」という話ではない。澤井氏が一貫して語るのは、「制度のために動くのではなく、現場の課題から動いた結果として認定がついてくる」という順番の話だ。

健康とメンタルは「体が資本」――経営者自身の経験から

澤井氏の健康経営への向き合い方には、自身の体調不良の経験が色濃く反映されている。

「経営者って、健康を度外視した働き方をしがちです。前日に飲み会があっても、次の日は普通に仕事をしてしまう。それが体に跳ね返ってくる。自分が体調を崩した経験がなければ、こういう話はしていなかったと思います」

メンタルヘルス対策についても独自の視点を持つ。ストレスチェックなど形式的な制度には批判的な一方、フィジカルとメンタルの密接な関係性については強く信じている。

「体調を崩したらメンタルもやられる、という順番だと思うんです。風邪をひいている時に『明日遊びに行くぞ』とは思わないですよね。メンタルヘルスケアでまずやるべきことは、筋トレだと思っています」

▶ 社内説明・稟議の場で使える、澤井氏の言葉

健康経営の導入を社内で提案する際、上司や経営層を説得する論理として、以下の発言は転用しやすい。

「体調を崩した時に、ある程度の補償や福利厚生がしっかりしていれば、復帰する率は間違いなく高くなります」

「体力仕事なので、腰を痛めたら立てなくなって仕事が止まる。それよりは整えてもらった方が、明らかに生産性がいい。1日休まれるよりマシ、という単純な打算です」

「お金があれば健康にも気を配れるし、時間も買える。資産形成も健康経営の一部だと思っています」

「労働は、お金を稼ぐことから始まります。健康経営も経済活動と切り離さず、直結させて考えるべきだと思っています」

これから健康経営に取り組む企業へ

最後に、これから健康経営に取り組もうとする中小企業の経営者・担当者への澤井氏のメッセージを聞いた。

「労働は、お金を稼ぐことから始まります。健康経営も経済活動と切り離さず、直結させて考えるべきだと思っています。環境の整備が大事で、それがあれば取引などにも影響してくる。だからこそ、企業としての利益にもつながる形でやるべきです」

そして、制度そのものへの向き合い方については、こう締めた。

「認定を取るために何かをするというのは、正直あまり意味がないと思っています。大事だったのは制度そのものより、意識改革なんです」

まとめ

アダムスセキュリティの健康経営は、「制度ありき」ではなく「現場の課題ありき」で組み立てられている点が特徴的だ。整体・ジム補助、インフルエンザ予防接種、そして企業型DCに至るまで、すべてが「従業員が無理なく働き続けられる環境づくり」という一貫した目的に向かっている。健康経営優良法人という制度そのものへの率直な評価も含め、現場発の健康経営のリアルな姿が見えるインタビューとなった。

会社概要

地域密着の警備会社として、テクノロジーと「人への気遣い」を両立させた警備サービスを提供する株式会社アダムスセキュリティ。最新の機材やAIを活用した警備の実証実験にも取り組みながら、「警備は接客業である」という思いを社内の共通認識として大切にしている。

社名 株式会社アダムスセキュリティ
代表者 代表取締役 澤井 敬輔
本社所在地 〒525-0034 滋賀県草津市草津三丁目13-47(木屋長ビル)2F
設立 2011年11月
資本金 500万円 ※2026年8月1日に2,000万円へ増資予定
事業内容 交通誘導警備業務/雑踏警備業務/施設警備業務/イベント警備業務/店舗警備業務
対応エリア 滋賀県全域、京都市など
主な取り組み 健康経営優良法人認定(2021年〜継続取得)/AI警備の実証実験/交通誘導警備を中心とした地域密着型サービス
公式サイト https://adams-security.jp/
一覧に戻る