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【2026年度版】人事担当者が今すぐ確認すべき労働安全衛生法の改正ポイント3つ——対応期限・罰則・実務チェックリスト付き

2026.04.27


「また法改正か」——そう思いながら、つい後回しにしていないだろうか。
2025年5月、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律が公布され、2026年から段階的に施行が始まった。今回の改正は例年の小幅修正とは次元が違う。フリーランス・一人親方の保護義務化、ストレスチェック義務の全事業場への拡大、高齢労働者対策の努力義務化——この3つが重なった、10年に一度級の改正である。

本記事では、人事担当者が「今すぐ」確認すべき3つのポイントを、施行日・対象・罰則・実務チェックリスト付きで整理した。この記事を読み終えたら、社内の担当者と対応状況を確認してほしい。


📅 改正施行スケジュール一覧

まず全体像を時系列で把握しよう。自社に関係する項目と期限を確認してほしい。

施行日 主な改正内容 対象 種別
2025年5月14日 個人事業者等に対する注文者の配慮義務 全業種 施行済
2026年1月1日 特定自主検査・技能講習の不正防止強化 製造業・建設業等 施行済
2026年4月1日 ① フリーランス・一人親方への安全管理義務拡大
② 高年齢労働者の労災防止(努力義務)
③ 治療と仕事の両立支援(努力義務)
④ 化学物質の代替名による通知ルール変更
全事業者 対応中
2026年10月1日 化学物質:有資格者による個人曝露測定 化学物質取扱事業者 今秋
2027年1月1日 個人事業者等の業務災害報告制度の新設 元方事業者等 準備
2027年4月1日 個人事業者等自身への安全義務(機械・点検・教育) 個人事業者等 準備
2028年4月1日 ストレスチェック義務化の50人未満事業場への拡大 全事業場 準備
⚠️ ポイント:2026年4月1日施行の項目は「すでに始まっている」。まだ対応していない企業は直ちに確認が必要。2028年のストレスチェック義務化についても、2026年5月18日の厚生労働省分科会で2028年4月1日施行・2029年3月31日までに第1回実施完了と方針が示された(最新情報)。

🔑 改正ポイント3つを詳しく解説

01

2026年4月1日〜 / 全業種対象

フリーランス・一人親方が「同じ現場」にいたら、あなたにも安全管理義務がある

何が変わったか

これまでの労働安全衛生法は、保護の対象を「雇用された労働者」に限定していた。しかし今回の改正で、フリーランスや一人親方などの個人事業者等が自社の労働者と同一の作業場所で働く場合、その安全管理義務の対象に含まれることになった。

具体的には、元方事業者が混在作業場所において講じるべき指導・連絡調整等の措置対象が、「労働者」から「作業従事者(個人事業者等を含む)」に拡大された。

企業側が対応すべきこと

業務委託・外注・常駐請負など、自社以外の作業者が混在する現場を持つ企業は、次の点を見直す必要がある。

  • 入場時の安全教育(送り出し教育)の対象を、一人親方・フリーランスを含む全作業者に拡大
  • 危険・有害業務を委託する場合、個人事業者等が特別教育等を受講しているか確認する仕組みの整備
  • 作業場所の連絡調整ルートに個人事業者等を含める
  • 注文者として、安全な作業が困難になる契約条件(無理な工期・施工方法の指定など)を付さないよう配慮
📌 対応期限

2026年4月1日〜すでに施行中。未対応の場合は直ちに対応が必要。2027年4月1日からは個人事業者等自身にも安全義務が課されるため、双方向の義務体制が整う。

⚡ 罰則・リスク

フリーランスや一人親方が労働基準監督署長に申告・是正を求めることが可能になった(法97条)。不利益取扱いの禁止も明文化。申告を理由とした取引停止は法律違反となる点に注意。改正前のような「義務なし」という解釈はもはや通じない。

実務チェックリスト①


  • 緊急
    自社現場にフリーランス・一人親方・業務委託者が混在していないか確認した

  • 緊急
    安全教育(送り出し教育)の対象者リストを「全作業従事者」に更新した

  • 緊急
    危険・有害業務の委託先に特別教育受講の確認・記録を行う手順を設けた

  • 計画
    2027年4月施行分(個人事業者等への義務付け)を社内で共有・準備している

  • 計画
    外部委託先・協力業者に今回の法改正内容を周知した、または周知の計画がある

02

2028年4月1日施行確定 / 全事業場対象

ストレスチェック、50人未満の事業場にも義務化。「どうせまだ先」は最も危険な認識

何が変わるか

2015年に始まったストレスチェック制度は、これまで従業員50人以上の事業場にのみ義務が課されていた。50人未満は努力義務にとどまり、実施率は32.3%(厚労省2024年調査)と低迷していた。しかしこの状況は間もなく終わる。

2025年の改正法成立を受け、2026年5月18日の厚生労働省労働政策審議会安全衛生分科会にて、2028年4月1日施行・2029年3月31日までに第1回実施完了という方針が正式に示された。施行まであと2年を切った。

なぜ今から動く必要があるか

50人未満の中小事業場は、産業医の選任義務がなく、外部の実施機関の確保から始めなければならない。委託先の選定・契約・実施設計・結果活用の仕組みづくりまで、最低でも6〜12カ月は見ておく必要がある。「2027年度中に間に合わせればいい」という感覚は、直前に外部サービスが逼迫した時に裏切られる。

📌 対応期限

施行日:2028年4月1日(確定)
第1回ストレスチェック完了期限:2029年3月31日
今すぐ「50人以上か未満か」に関わらず、自社の実施状況と次のステップを確認すること。

⚡ 罰則・リスク

50人以上の事業場で現行制度の実施・報告を怠った場合は、労働安全衛生法第100条・120条に基づき50万円以下の罰金の可能性がある。50人未満に義務化が拡大された後も、未実施は安全配慮義務違反として民事上のリスクを負う。義務化後は行政指導の対象にもなる。

📢 2026年最新情報(2026年5月18日):厚生労働省が50人未満事業場向けのストレスチェック実施マニュアルをすでに公表。義務化前にもかかわらず、国が準備を促している状況だ。

実務チェックリスト②


  • 緊急
    自社の事業場ごとの従業員数を把握し「50人以上」「50人未満」に分類した

  • 緊急
    50人以上の事業場で、当年度のストレスチェック実施・労基署報告の状況を確認した

  • 計画
    50人未満の事業場について、外部委託先(産業医・EAP・クラウドサービス等)の選定を開始した、または計画している

  • 計画
    ストレスチェックの結果活用(高ストレス者への面接指導、集団分析)の体制を検討している

  • 全社
    産業医未選任の事業場で、産業医の確保または地域産業保健センターとの連携を検討している

03

2026年4月1日〜 / 全事業者(努力義務)

高齢労働者の労災防止と「治療しながら働く」支援が、すべての企業の努力義務に

何が変わったか

2026年4月1日から、高年齢労働者の労災防止措置(法第62条の2)と治療と仕事の両立支援(労働施策推進法の改正による)が、すべての事業者に対して努力義務として位置づけられた。

背景となるデータは明確だ。労働災害による死傷者数のうち60歳以上の割合は30.0%(令和6年)にのぼる。男性高齢労働者の「墜落・転落」は20代の約3.5倍、女性高齢労働者の「転倒による骨折等」は20代の19倍——これは「人手不足で高齢者に頼らざるを得ない職場」が、同時に最大のリスクを抱えていることを意味する。

「努力義務」を甘く見てはいけない理由

罰則がないからといって放置すれば、労災が発生した際の安全配慮義務違反として民事訴訟リスクが高まる。また、今後の指導強化・調査において「努力義務への対応状況」が問われる可能性もある。何より、高齢労働者が多い職場で対策が何もないことは、採用競争でも大きなマイナスになる。

治療と仕事の両立支援についても同様だ。がん・糖尿病・精神疾患など、治療を続けながら働く従業員は今後さらに増える。相談窓口・休暇制度・復職ルールを整備している企業は「辞めなくていい職場」として差別化されることになる。

📌 対応期限

2026年4月1日〜すでに施行中。厚生労働省が「エイジフレンドリーガイドライン」を公表済み。このガイドラインに沿ったリスクアセスメントと対策立案が推奨されている。

⚡ 罰則・リスク

努力義務のため現時点では直接の罰則はない。ただし、高齢労働者が労災に遭った際、「義務があったのに何もしていなかった」という事実が安全配慮義務違反の証拠になりうる。民事損害賠償リスクは実質的に義務と同等の重さと理解すべきだ。

実務チェックリスト③


  • 緊急
    60歳以上の従業員数と、担当業務のリスク(転倒・墜落・腰痛など)を把握している

  • 緊急
    「エイジフレンドリーガイドライン」を入手・確認し、自社に適用可能な対策項目を洗い出した

  • 計画
    治療しながら働く従業員向けの相談窓口(人事・産業医・EAP等)を設置・周知している

  • 計画
    短時間勤務・勤務時間の変更・休暇取得など、治療と就労を両立させる制度・規定が整備されている

  • 全社
    管理職・現場リーダーに対して、高齢労働者・疾病を持つ従業員への適切な配慮の仕方を研修・周知した

📋 3つの改正ポイント まとめ比較

人事担当者が確認すべき3点——優先度・対応種別・期限
ポイント 対応種別 対象 今すぐやること 最終期限
① フリーランス等の
安全管理義務
義務 全業種 現場の混在状況確認・安全教育対象の拡大 対応中(施行済)
② ストレスチェック
義務化拡大
義務(予定) 50人未満
全事業場
実施体制・委託先の選定開始 2028年4月1日
(第1回:2029年3月31日)
③ 高齢者対策・
治療両立支援
努力義務 全事業者 高齢従業員リスク把握・相談窓口整備 施行済(民事リスクに注意)

💬 おわりに——「対応した」ではなく「仕組みにした」かどうかが問われる

法改正への対応は、チェックリストをこなして終わりではない。今回の改正が求めているのは、「働き方の多様化に対応した安全衛生体制の再構築」だ。フリーランスが現場に増え、高齢者の就労が続き、疾病を抱えながら働く人が当たり前になる時代——その現実に向き合った仕組みを、今のうちに整えた企業が、採用・定着・リスク管理のすべてで優位に立てる。

「どこから手をつければいいか分からない」という場合は、まず自社の現状把握(現場の作業形態・従業員の年齢分布・ストレスチェック実施状況)から始めること。全体像が見えれば、優先順位は自然と決まってくる。

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【参考法令・資料】
・労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)
・厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法改正の主なポイントについて」
・厚生労働省 第185回労働政策審議会安全衛生分科会(2026年5月18日)
・厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」
※本記事は2026年6月時点の情報を基に作成しています。法改正の詳細は必ず最新の官公庁資料をご確認ください。

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